Classification分類
繊維を原料別に大きく天然繊維と化学繊維に分かれます。
さらに、天然繊維からは、植物から採れる植物繊維と動物から採れる動物繊維に分かれます。
化学繊維も、天然原料を繊維状にした再生繊維、天然高分子を改質して製造する半合成繊維、純合成的に有機高分子化合物を製造する合成繊維に大別されています。
Natural Fibers天然繊維
植物繊維
綿(コットン)
いわゆる木綿(もめん)です。アオイ科ワタ属ワタの種子から獲れる繊維です。最も一般的な繊維の一つで日本国内の繊維製品の約4割を占めるといわれています。丈夫で吸湿性にも優れており、インナーからアウターまで幅広く使われます。
亜麻(リネン、フラックス)
主にフランス北部、ベルギー、東欧諸国などで生産される一年草「亜麻」から獲れる繊維です。繊維の状態では黄色を帯びた茶色をしており「亜麻(あま)色」の由来にもなっています。丈夫でコシがありしなやか。ナチュラルな風合いで高級感を演出します。
苧麻(ラミー)
アジアに広く分布する多年生植物カラムシからとれる繊維です。太く長い繊維で光沢があり清涼感もあります。適度なシャリ感が特徴で主に春夏素材として使われます。
動物繊維
羊毛(ウール)
いわずと知れたウールです。吸湿性・保温性に優れ、しわにもなりにくい為、幅広く衣料品に使われており、ニットではセーター・帽子・手袋etc..織物ではスーツ・コート地などが作られます。生後6ヶ月までの羊毛はラムウール(lamb wool)と呼ばれ、ソフトな風合いが特長です。
カシミヤ
インド北部高山地帯カシミール地方の呼び名に由来するカシミヤ山羊の毛です。ウールに比べ繊維が細く柔らかで独特のぬめりがあります。採取に手間が掛かり希少価値が高い為、非常に高価です。
アンゴラ
アンゴラウサギの毛です。トルコのアンカラ(アンゴラ)地方原産ですが家畜・ペット用に品種改良が進み現在では世界各地で見られます。軽く滑らかな繊維で、独特の表情豊かなニットが表現できます。
モヘア
トルコのアンカラ(アンゴラ)地方原産アンゴラ山羊の毛です。シルクのような光沢と強いコシが特長です。軽くで独特の風合いがあり保温性にも優れます。飼育が難しくカシミヤ同様希少価値が高く非常に高価です。
キャメル
ふたこぶラクダから獲れる毛を指します。主に中央アジア原産のものが良質とされており砂漠など寒暖の差が激しい過酷な環境下でも生命を守るその体毛は吸放湿性・保温性に優れ、コートやインナー、寝具の原料になります。カシミヤなどと同じく希少価値が高い繊維です。
アルパカ
南米原産の家畜で、ラクダの仲間です。繊維は強くコシがあり弾力に富みます。アルパカ織物はインディオのマントやポンチョに使われる事でも有名です。ニット向けにも他の繊維と混紡して使われることが多いようです。
ビキューナ(ビクーニャ)
アルパカの仲間ですが、動物界随一と言われるほどその毛は細く、非常に滑らかで上品な光沢があり保湿性・断熱性にも優れています。原毛は年3トン程しか獲れず「繊維の宝石」とも呼ばれるほど希少価値があり、ビキューナ100%で作られたコートには数百万円の値が付くとも言われています。
絹(シルク)
蚕が繭を作るときに放出する糸を精練して取り出した繊維です。一つの繭から1,000mもの繊維が獲れ、天然繊維のなかで唯一の長繊維といえます。素晴らしい光沢を持ち、吸湿性、強度、滑らかな風合いに優れ、古来より高級素材として重用されてきました。ニットには短繊維化されたものが多く使用されます。
Science Fiber化学繊維
再生繊維
レーヨン
1892年英国でビスコース法として開発された再生繊維です。木材パルプを原料とし、特殊な化学処理を経てセルロースを取り出し繊維へ再生されます。吸放湿に富み柔らかく上品な光沢感とドレープ性にも優れています。オーストリアのレンチング社は「モダール」の商標で高品質のレーヨンを生産しています。
ポリノジック
分子構造をより高重度化することにより洗濯時の寸法安定性を高めた「改質レーヨン」です。物理的特性は綿に近いのですが繊維断面が丸いのでレーヨンの光沢感も持ちあわせています。
キュプラ
上記のレーヨン類とは別に銅アンモニア法という工程で作られた再生繊維です。綿花の種子周辺に付着しているごく短い繊維(コットンリンター)を原料としています。上品な光沢、摩擦強度に優れ、洋服の裏地などに多く用いられます。旭化成は「ベンベルグ」の商標で高品質のキュプラを生産しています。
テンセル
レーヨンが生まれた約100年後の1988年にイギリスで生まれた再生繊維です。溶剤紡糸法というそれまでにない方法で作られ、工程中の溶剤を回収して再利用するため廃液が環境中に放出されず、地球に優しい繊維です。レーヨンより丈夫で弾力とコシがあり上品な光沢が高く評価されています。
半合成繊維
アセテート(ジアセテート)
セルロースを酢化した「酢酸セルロース」から作られる繊維です。石油ではなく木材由来の原料を合成して作る為、半合成繊維と呼ばれています。シルクのような光沢を持ち、ドレープ性を持ちながらサラリとした風合いが特長です。
トリアセテート
アセテートにくらべ酢酸セルロースの酢化度が高いもの(59.5%以上)をトリアセテートと呼びます。構造上はより合成繊維に近い構造といえます。特長としてはアセテートに比べて若干疎水性で、湿潤時の形態安定性、耐熱性に優れている点が挙げられます。
合成繊維
ナイロン
1935年、アメリカで開発された世界で最初の合繊です。ストッキングに使われたのが始まりでした。強度・磨耗に強く他の繊維と組合せて補強として使うことも多いようです。また風合いはソフトでしなやかです。
ポリエステル
1941年、イギリスで開発された合成繊維です。日本国内でも合繊の半分以上を占めており世界的にみても最も多く生産されている合繊です。ナイロンに次ぐ強度を持ち他の繊維との相性もよく熱セット性にも優れており型崩れにも強い高汎用性が特徴です。
アクリル
1950年、アメリカで生産され始めた合繊です。ウールを模した繊維である為、軽く、嵩高性(ハイバルキー性)に優れており、暖かいのが特長です。また合繊である為、ウールなどで問題となる虫害の心配もありません。染色時の発色がよく他の繊維との相性も良い為、ファッション界でも多く利用されています。
ポリウレタン(スパンデックス)
1959年、アメリカで生産され始めた合繊です。非常に細くありながら、ゴムのように伸び縮みするのが最大の特長で、製品にストレッチ性を出す目的で広く利用されています。他の素材と組み合わせて使うのが一般的です。